日本人サーバエンジニアが香港のデータセンター開設で苦労したあれこれ~現場編~

前回の渡航編では、実際荷物の運送やLCCのレビューみたいになってしまいましたが、今回は少し技術的(?)な話ができると思います。
参考:海外で働きたいサーバエンジニア必見!?香港データセンター開設作業はトラブルだらけ~渡航編~

ちなみに今回は「現場編」という事でラックや電源周りの話を中心にお伝えできればと思います。
※本記事では各社様・各サービス名の敬称は省略させて頂きます

香港到着!空港からタクシーで尖沙咀のホテルに

深夜0:00頃に香港国際空港に到着したので、当然地下鉄は動いていなく、そもそも荷物が多いのでタクシー一択です。
ホテルは尖沙咀のホテルを予約。とりあえず尖沙咀なら困る事はないだろうという安直な選択。
※尖沙咀は東京で例えると新宿みたいなところです。

尖沙咀(Tsim Sha Tsui)とは?

九龍地域でもっとも賑わいを見せる商業地域で、様々な人種の人びとが行き交う。競うように看板が道路上にせり出し、所せましと商店が軒を連ねる、ごみごみとしたアジアの混沌を象徴するかのような街の雰囲気に圧倒される旅行者は多い。

引用元:尖沙咀 – Wikipedia

荷物をホテルの部屋に運べない・・・

ダンボールなので、スーツケースを引きずりつつダンボールを持つのは大変なので、ホテルのベルマンさんを召喚。

ベルマンさん召喚

ベルマンカートを借りて部屋までダンボールを運びました。

無事荷物を部屋に置いたら香港の大衆料理屋さんのヤンキーレストランで晩御飯。明日の予定を確認し、ホテルに戻り就寝。

起床後、日本城で必要備品を買い出し

日本城

画像引用元:國際家居零售 – Wikipedia

荷物を極力減らすために作業に必要な備品は日本から持ってこず「現地調達しよう!」というコンセプトだったので、とりあえず工具屋とホームセンターに行きました。
買おうとしていたものは以下の通り。

  • 1.ドライバー
  • 2.電動ドライバー
  • 3.結束バンド
  • 4.ニッパー
  • 5.ハサミ
  • 6.ポストイット
  • 7.備品を保管しておくプラケース

ドライバーと電動ドライバーは工具屋さんで調達。
その他の備品は日本城というジャパニーズホームセンターで購入。日本のホームセンターの様に色々売ってます。しかし店舗によっては商品ラインナップが異なるで注意。
尖沙咀店ではジャストな品揃えでした。

タクシーに乗ってデータセンターへ

荷物が多いのでタクシーでデータセンターに行きます。データセンター前着いたら荷物をおろします。

データセンター到着

良い感じにシュールですね。これらを運ぶために、荷台を借りてラック前まで運びます。
当然、荷台を借りる時も全部英語です。「荷台って英語でなんて言うんだっけ?」とちょっと不安でしたが、自分達の荷物の多さを察して荷台を持ってきてくれました。
ありがとうございます。

ラック前に到着!あれ?電源が・・・

入館手続きをおこない、数々のセキュリティを乗り越え、ラック前に到着しました。
事前に技術エージェント様にルータの設置等をお願いし「電源は日本のにコンバーターしておきました」という報告があったので、日本の電源でも大丈夫だと思って確認してみたら・・・・

ラック前に到着

ルータの箇所のみコンバートしてあり、その他はデフォルトの香港仕様・・・

まぁ当たり前と言えば当たり前でそんなうまい話があるわけもないのですが、とりあえずサーバの物理的な設置をサーバエンジニアがおこない、Webデザイナーが日本から運んだサーバ10台+スイッチ6台を使うために現地仕様の電源ケーブルの買い出しに行くという感じで作業分担しました。

ドライバーくるくる

見事な連携プレイです。

香港の秋葉原、深水埗(Sham Shui Po)へ買い出し

深水埗(Sham Shui Po)に買い出しへ。深水?と言えば日本に例えると秋葉原の様な街です。

深水埗

深水埗(Sham Shui Po)とは?

高登電脳中心など電気街があり、同じ九龍の旺角と並び香港の秋葉原と呼ばれて久しい。こちらは土日となると店内は人でびっしりと埋まるくらいの混雑ぶりを呈す。

引用元:深水ホ – Wikipedia

とりあえず駅近くにある黄金電脳商場(Golden Computer Arcade)に行きました。
ケーブル屋さんが見当たらず片っ端から「Please,Power cable!!」と言って回り、無事電源ケーブルをゲット!

電源ケーブル

17本買いましたが、まだまだ在庫が500本くらいありそうでした。黄金電脳商場恐るべし・・・。

ちなみにBitcoinの自販機がありました。

ビットコイン自販機

買ってみたかったですが、タクシーに乗って急いでデータセンターに戻ります。

電源ケーブルをゲットするもまたまた問題発生

電源ケーブルを持ち帰り、データセンターに戻りドヤ顔で並べます。

電源ケーブルマン
電源ケーブルマン
電源ケーブルマン

この通り香港仕様です。

サーバやスイッチに続々と電源が流れ、設置作業がスムーズかと思いきや、YAMAHA製ルータが110V入力で香港は230V出力。プラグ形状は当然日本(台湾)仕様・・・これはただコネクタ形状が合うのを買えばいいという問題ではありません。
入出力数も変換しなくてはいけません。

深夜になり、もう店も閉まっているため、本日の作業は終了・・・。
今日中に終わらせて明日丸一日遊びたかったけど明日に持ち越しです。

2日目、尖沙咀でコンバーターアダプタ探し

深水?に行けば確実に売ってるのですが、あまりアチコチ移動して時間を取られても嫌だったので、尖沙咀でコンバーターアダプタ探し。
バックパッカーの聖地、重慶大厦に行き、いかにも電源関係のものを置いてそうなお店を尋ねたら、無事取扱あり!しかも残り一個というギリギリセーフでした。

電圧変換マン

インプットが230Vでアウトプットが110Vです。完璧です。

電圧変換マン

コンバーターアダプタを無事手に入れ、データセンターに移動(また多くのセキュリティの数々を乗り越えないとラック前には辿り着けません)

サーバを設置し無事作業完了

LANケーブルマン

サーバ設置作業では動作チェック・疎通確認など色々おこないました。細かい事を書いてもここらへんは、日本国内の作業とあまり変わらないので割愛します。

今回電源問題が一番大変でしたが、いざやって終わってみると「現地で備品を買う」というのは言うほど作業は移動が面倒なだけで、
言うほど難しい事ではなかったので、また同じ様な事があっても平気という感じです(同じ様な事はもう起きないと思いますが・・・)

香港データセンターと台湾データセンターの違いと電源の問題

ここはやはり電源のプラグ形状が大きいと思います。日本と台湾は形状が同じAタイプですが、香港はイギリスと同じBFタイプ。

またサーバやスイッチの機器等ですが、ケースに書いてある電源の入力数と実際の入力数が違う場合があります(何気に一番これが焦りました)

今回は日本や台湾で利用していた「機器の再利用」「スピード最優先」というコンセプトだったのでかなり行き当たりばったりでしたが、次回からは現地調達をおこなってもっと堅い形でやっていきます。
従来メーカーでの新規購入だと、[見積]→[発注]→[納品]→[現地保管]→[渡航]→[設置]という感じで時間がすごい掛かってしまいますからね・・・。
※今回は社内在庫をそのまま持っていったので[渡航]→[設置]の2フローのみでした。